第2章 持続性スリープ
黒い髪の後ろ姿を数秒眺め、また次の角を曲がったところで視線を外す
あーあ……また逃げられた
これじゃつまらない停学システムの期間と同じだ
「……嫌い」
自分に暗示を掛けるように呟く
何が、何処が嫌い?
「……どっか嫌い」
そーやって、何度も明確な答えがでないのは……きっともう雪乃を許してるからなんだろうな
二年のときにはもうすでに
『カルマ……ありがとう』
…………あの時に、もう許してたんだ
にっこり笑って、俺を見て、名前を呼んで…………
「……攻略ね」
鉄壁だもんね、お前は
攻略するには難しいだろうよ
だから、攻略するために俺は嫌いで居続ける
「許すなよ……まだ」
俺とあいつを繋ぐのはこの関係しか無いんだから
嫌いと言えど、楽しいのに変わりはないんだから
俺の嫌いは動詞だから
動詞の……連用形だったっけ
得意教科じゃないから間違ってるかもしれないけど
たぶんあってる
形容動詞の嫌いで出ない答えでも、こっちの意味合いでの答えなら出せる
今は、俺を嫌ってる雪乃が嫌い