第2章 持続性スリープ
「あれ、またどっか寄るの?もう遅いよ?」
左に曲がる私に問い掛ける
私はチラリと一瞥をくれて、答えた
「だから、私がどうしようが貴方には関係ないでしょう。いい加減張り倒しますよ」
「うわ、最低」
「プライバシーの権利です」
公民で習ったでしょうに……
そもそも学校外でまで一緒に居てたまるか
またあらぬ噂をたてられる
「親は何にも言わないの?」
「うちは放任主義、補導時刻までには帰るし」
「眠いなら早くかえって寝ればいいのに」
「五月蝿い、寝たいときに寝るの」
「今は寝たくないってこと」
「そういうこと」
そう告げてまた歩き出す
「ねぇ」
「まだなにか……って」
振り返って睨むと何故か目の前にあったその顔
近っ……流石にその近さはビックリするじゃないか
身長差的にいつも離れてるから、ここまで近いのはなんとなく新鮮だ
「……俺がもし、もしだよ?"心配するから寝てくれ"って言ったら…………寝てくれんの?」
「はぁ……?」
なんだそれ、ていうか、関係無いって言ってるのに……
しかもこの人が私を心配する義理もない
嫌いなくせに何で私に構うんだ
「私のこと嫌いなくせに、そんなこと言うんだ。優しいですねぇ……」
「いやこれ結構本気だよ。本気で言ってる」
「……………………」
「喧嘩の相手がいないってね、暇なんだよ。つまらない…………あんたもそうだったんでしょう?」
……何を根拠にそんなことを言える
勝手に停学食らって……勝手に居なくなったくせに
自分勝手で、いつも私を振り回して、私を知った風にして…………
いつでも、私はこの人の一歩後ろにいる
この関係をゲームにするなら……いつまでも攻略ができずに詰んだ状態
ゲームオーバー間近の敵前逃亡に値する
打破するには敵はこちらを攻略しているように見せ掛けてるだけだと、自分に言い聞かせて当たって砕けるしかない
「…………私を攻略なんてさせません。優しい台詞を言っても、私は貴方の好きなように動く駒じゃない」
たぶん、彼は私のこういうところが嫌いなんだと思う
「………………へぇ、かわいくない」
全部、私の予想だけど