第2章 持続性スリープ
「勘違いしないでね、私……結構怒ってますから」
知ってる、とでも言いたげに笑みを溢す
まぁ、知っているからこそ、この人は私に”怒られる”という選択肢を取ったのかもしれない
「前提として、貴方のことは言わずもながら嫌いです。大嫌いです。だから、ここからは貴方の”友達として”言わせてもらうよ」
触れてる頬のうち、右手だけ熱い……
それはまだ叩かれた熱が引いてないからか……
私の手が水で冷えてたからそう感じたのかもしれないけど
「もう二度と……あんな自分を捨てる暗殺は……行為は、やめて」
しっかりと、意思を込めて、相手に伝わるように目を見て言った
こういうことでしょ、貴方が言った意味
私を確認したかったんでしょ?
「嫌い、嫌い、大っ嫌い。なんで何にも言わずに他の人に心配かけるようなことするの……!?渚だけじゃなくて、後から聞いた皆だって心配するんだよ……!?」
それには勿論、私を含めてる
「死んだらどうするの……?自分はどうでもいいの……?なんでも一人でこなせるのって、こなせる人って………だから嫌い」
回りのことなんて考えてくれない……どんなに努力しても報われない人だっているのに
どんなに頑張っても……結局は自分のためにならない人だっているのに
「……もうやめて、私にもう見せないで」
あの悪夢を増やさないで……
そこまで言い終わると、私は離れた
もう、彼の瞳を見る必要がないから
「……なるほど、ね」
何が納得したのか、何が彼のなかで動いたのか……そんなの全くもって知らない
けれど、確実に、事実的に……あの前よりも嫌いな彼の姿は無くなった
「……わかったの」
「うん、わかってるよ」
「なんで今どっちのわかったかわかったの」
「なんとなく、そんな気がした」
「……ふぅん」
なんとなくで理解されるのもなんか複雑だな
久しぶりに叫んだものだから疲れなのか欠伸が漏れる
「眠そうだね」
「いつも」
「寝てないの?」
「寝れないの」
「ふぅん……」
貴方なら、私の目を覚まさしてくれる気がするんだけどな