第2章 持続性スリープ
「………………」
「………………」
結局、あの後互いになにも言えない状況になってしまって……だけどその場の空気というものか、すんなり帰ろうとはどちらも言い出さなかった
公園というよりは広場と例える方がわかりやすいここに、もうどのくらい黙ってベンチに座っていたかなんて忘れてしまった
……まぁ、二人とも早く帰るというよりは、寄り道して帰るような性格だしな
それより、寄り掛かられてる肩が痛い……
普通にベンチの背凭れに寄っ掛かってよ……
未だに頬にタオルを当てながら、私の肩を背凭れにする
勿論、会話の無いまま……
けれどそんなわけにもいかない
会話、それがないと何も伝わらない
「……ねぇ、もう温いでしょ。濡らしてくるよ」
「んー…………ね、本当に、俺を怒らないの?」
「え?」
会話が噛み合ってない
だけど例のごとく私は顔を見れない
「『馬鹿』の後……まだ続きがあったのかなって。だからまだ俺は大嫌いなあんたと居るんだけど……」
「……………………」
そうだった、大嫌いなやつだった
何を私は怒るのを躊躇ってたんだろう……叩いたせいで、全部飛んでた
言ってやらないといけないんだ……私は
「……今からズケズケと怒るけれど…………何も言わない」
「命令かよ」
わかってるくせに……
「…………何も、言わな、い?」
「うん、言わないよ。でも約束して、ちゃんと……いつもみたいに俺の目を見て言って」
「……あぁ……うん、いいよ」
それくらいなのなら、私は一向に構わない
聞きようによっては告白でもしでかすような恋愛話になり得ないけれど
私と彼にはそんなの絶対に起こり得ない
肩からの重みが消えたのを確認して、私は立ち上がった
少し笑っている彼の両頬に手を添えて、前屈みになるよう片膝をベンチに置く
しっかりと、瞳が写るように……
「……少し、心配しました」