第6章 心理的ザ リーズン
「雪乃」
名前だ
私の名前
重たい瞼を開けると、赤い
赤い髪が覗き込んでる
「……あぁ……カルマ」
「答えなくても良いからね。簡単に説明するよ。俺も時間がないから早く行かなきゃだし」
急ぐとは言ってるけど
焦りなんてないように笑ってる
「竹林と奥田さん以外の皆で、今から山のホテルに行ってくる。雪乃を含めた皆を治すワクチンを貰いに」
ワクチン…………皆の……
少し横を向いて、辛そうな皆を見て……これは集団で盛られたもの、だと理解する
「素直にくれるなんて端から思ってないけど……しかも、誰の仕業かまだわかんないけど…………大丈夫だからね」
事態を把握するのには
十分だ
その大丈夫が……私を安心させるための言葉だということも
わかった
「留守番よろしく。元気になったら皆にまた笑顔を見せてあげてね。たぶん、一番の特効薬だから」
コクりと頷くと、笑い返さる
私は右手を出すと……出来るだけ笑った
「……いって、らっしゃい」
「……喋らなくていいのに」
呆れたようにして、私の右手をぎゅっと握ってから離す
「いってきます」