第6章 心理的ザ リーズン
僕らが戻ったのはもう深夜も回って夜明けがかってた頃だった
皆に薬を飲ませて、無事を確かめあってた
もちろん寺坂くんも薬を飲んでひと安心だ
ただ……
「薬を飲むまでは起きてたんだがね。全員が飲んだのを確認したら目を閉じてしまったよ」
「名前、呼んでも起きないので…………たぶん、疲れて寝ちゃっただけだと思います」
「ふぅん……ありがと」
間宮さんは、目が覚めるまでわからない
二人から状態を聞きながら、カルマ君は間宮さんを覗き込んでる
その横顔は流石に疲れてるようで、虚ろげな目だった
「カルマ君……」
「大丈夫だよ、渚くん。雪乃は俺との約束、破ったことないから」
僕を安心させるように言って、彼女の額を撫でる
「笑顔でおかえりって言ってくれるから。それまで…………ゆっくり休んでもらおうよ」
「うん」
撫でた後、手を握って彼女の耳元に微笑んだ
「留守番ありがとう。ただいま雪乃」
誰も聞いたことがないだろう
この声は
カルマ君だって疲れてるのに
あんなに優しそうに笑って…………
あの言葉は……嘘じゃないんだ
「渚!もう皆大丈夫みたいだよ」
「そっか。それはよかった」
「何見てたの?」
「いや、カルマ君たちを…………あれ?」
少しの間目を離した隙に……寝てる
間宮さんを囲むように
寄り添うように
猫のように
手を繋いだまま
「仲良しだね。こっちが羨ましくなってくるよ」
「そうだね。このままそっとしておこっか」
「うん!」
『渚くんの最初の質問に答えるよ』
『雪乃が好きだよ。親友なんかじゃないし…………誰にも、渡さない』