第6章 心理的ザ リーズン
殺せんせーはいつものように僕らの暗殺を褒めてくれたけど
かつてなくおおがかりな全員での渾身の一撃を外したショック
異常な疲労感ともに僕らはホテルへの帰途へ着いた
僕らの作戦は成功した
けど、事実上は失敗だ
ターゲットは生きている
皆、喪失感によって元気がない
けど
いくらなんでも皆疲れすぎじゃ…………
ドン……
「!」
「渚君よ、肩貸してくれんかね」
立ち上がったときにぶつかった、虚ろ気味な中村さんの体が傾く
ドサッ
「中村さん!」
「おかしいね、ちーとも体が動かんのよ」
強気に笑う彼女の額に触れると酷い熱
回りの岡島くんを始めとした人たちも次々に倒れてく
何が起こってるんだ
こんな皆一気になんて……
烏間先生が聞いてるみたいだけど、病院は無い……か
「!」
焦りが生じた空気に、着信音が響く
この事態を招いた人物からの、要求
『もっとも背の低い男女に持ってこさせろ』
殺せんせーを連れて、あのホテルに行かなくちゃいけない
そして、そのもっとも低い男女は……
僕と茅野だ
ありとあらゆる議論が繰り広げられてる中、僕はあることに気付く
……あれ、間宮さんは?
どこにもあの黒髪と笑顔が見当たらない
水色の瞳も
今この場で一番必要となる彼女という存在の安心感が……いない
「間宮さんは……!?」
僕のその問いかけに大きく反応したのは二人
「あ!雪乃なら部屋に戻るって言ってたよ!!さっき、私に言ってった!」
間宮さんの姿を最後に確認した茅野と……
「廊下で倒れてたりしたら大変だ!見てこないと…………!」
走り出そうとする僕の横を掠める赤い髪
なぜか僕はそれにすごく安心した
カルマ君
前の僕なら嫉妬で、安心なんて出来なかったのに
誰よりも早く動いた彼に
僕は安心した