第6章 心理的ザ リーズン
「僕が聞きたいのは、ひとつだけだよ。カルマくん」
木に寄りかかり、瞳を細める彼に……問う
「間宮さんのこと、どう思ってるの?」
その問いに、カルマくんは視線を外した
頭のいい彼なら、自分の気持ちがわからないわけない
答えれる質問だ
「……僕は、好きだよ。でも、友達でいいと思ってる」
「…………無欲だね。俺には到底無理だ」
自嘲するように笑うカルマくんをスルーして、僕は続ける
「諦めた訳じゃないよ。隙があれば僕はまた彼女に伝える。けど、今間宮さんはそれを望んでないから、友達でいるよ」
彼女が僕に望んだのは……友達という関係なんだ
それを裏切ることはきっと僕にはできない
「でもさ、カルマくんは僕と違うんでしょ?」
「……親友、だったね。あいつが望む俺との"最終的な関係"は」
そして、
それは同様に"カルマくんも出来ない"
その理由は……僕と同じはずなんだ
押し殺して、優先を変えてるだけで
僕と変わらないはずなんだ
「カルマくんは好きでいてくれたなら、間宮さんとどんな関係でもいいの?」
「……………………」
「永遠に君らのゲームを終わらせないつもりなの?」
追い詰めるように問い続ければ、やっと、カルマくんが自分から口を開いた
「…………ほんと、無欲っていいね」
反らしていた視線を僕に戻す
「最初は、本当に泣かせれたなら、壊せたならそれで十分だったよ。でも、不思議とあいつに対する欲は増えてったんだ」
悲しそうに僕を見る
「離れたくないし、中心でいたいし、誰かに俺がやってきた位置を取られたくないし、あの笑顔は俺しか知ってて欲しくないし、"親友でいたくないし"……」
それに……と、もっと悲しそうに僕を見た
「好いてて貰ってるのに、しかもそれが他のやつらより上って言われたのに……それ以上を求めるなんて、貪欲過ぎるでしょ?」