第6章 心理的ザ リーズン
「あれ?雪乃は?」
「浅野くんに拉致られたよ」
「はい!?」
「ただの期末の再試だけど」
「な、なんだ……びっくりした」
あながち嘘でもないんだけど
話を少し盛っただけで
「あ、そういえば……渚が探してたよ。カルマくん」
「渚くんが?なんで?」
「うーん、よくわかんない。よくわかんないけど……たぶん、雪乃のことだと思う」
「……………………」
雪乃……か
全部、良いとこ俺が持ってったし
渚くんが叫ばなきゃ、俺はあいつを助けられなかったんだろうけど……
「えげつないなぁ……茅野ちゃんに伝えさせるか」
「あはは、悔しいけど……雪乃は憎めないよ。そんな雰囲気してるもん」
「そうだね。伝達ありがとう」
「いえいえ」
さーて、と、
「なんの説教かな」