第5章 重要性プレイス
「……雪乃?」
「………………」
「寝たの?」
「……ううん、体……動かなくて」
「触手に操られていたようなものですからね。暫くは動けないでしょう」
そっか……
自分の体なのに、言うこと聞かないって……久しぶりだなぁ
カルマを、叩いちゃった日以来……だなぁ
「とりあえず、誰か……つーか、女子に頼みたいんだけど…………」
「なに?って、あぁ……ごめんわかったわ」
「流石に、俺でもきついから」
「……?」
訳がわからず、でも体は動かないから成り行きに任せる
「雪乃、動かすけど痛かったら言って」
「うん……」
体が浮いて、反対側の片岡ちゃんの膝に移動する
そして、やっとカルマが女子に頼んだことがわかった
「破れたりしてなくてよかった。これなら、止めれば平気だよ」
そうだ、服
触手が肩に、肩甲骨の辺りにあったから……ボタン外したんだった
肩まで出るように、外したんだ
……カルマでよかった、岡島くんだったら私死んでた
心底そう思う
いいや、岡島くんでもきっと体が動かないから抵抗はできないんだろうけど……
きっとカルマじゃなきゃ止められなかった気がする
捉えただけの視界が、赤色だけわかったから
「間宮さん、私のこと、見える?」
「え……?」
「なんでかな、なんか……見えてない気がしたの」
神崎ちゃん……
「……見えるよ。神崎ちゃんだ」
「よかった……」
ごめん、私は見えてなかったんだ
ターゲットしか
一人になってたのは、私なんだ
「雪乃、体が動くようになったら、一緒に帰ろーぜ」
うつ向いた私に明るい声が降り、思わず微笑んでしまう
「うん、一緒に帰ろ」