第4章 真似っこミステリー
「そもそも、二人みたいにナイフケースデコったり、そういうことしないし。着飾るのって……苦手なんだ」
「勿体無い……」
「じゃあさ!今度、皆で雪乃を着飾る会ってどうかなぁ?ビッチ先生に頼んだらメイクも上手いだろうし」
え、なにそれすごいやだ
着せかえ人形じゃん
皆自分にやれば良いのに……私にそんな浪費を掛けたって無意味だよ?
「この際髪型も全部いじろうか」
「手つきが…………」
「でもなんか目的がないとつまんないよねー」
「それもそうだね。雪乃、二週間以内にデートの約束でもしてきといて」
「そんな無茶な……しかも何でデート」
「やる気はいるじゃん?」
「絶対やだ。それに私そういうのでかわいいとか綺麗って言われても嬉しくない」
お世辞みたいな感じだし
それで好かれても詐欺みたいだし
しかめっ面で膨れると、携帯が鳴る
画面を見ると母親の名前
「あ、ごめん。珍しくお母さんが出掛けようって来たから帰るね。ご馳走さま」
「うん、ばいばーい」
「明日期待してるよー」
「はーい」
二人に手を振ってお店を出ると、夕暮れ近い
綺麗な太陽が山に沈んでいく
「…………綺麗……ね」
自然な綺麗さが良いもの
だけどそれは私には無いの
本来の私を好きになるひとなんて……いない
所詮、私は誰かの代わりや人真似
都合の良い人間
不思議なくらい、人を敵に回さない
この才能は…………自己防衛に使う才能だ
本質は……ほんの少しの休息で良い
「……疲れたな」
なんか、その休息が出来てない気がする
それは……どうしてだっけ?