第20章 現場と決意
「そうなんですか…」
やられたなぁ。
まるで罠にかかったみたいなきぶん。
でも、悪くない。
「さん、
正式な書類をお持ちしますので待っててくださいね」
そうして運ばれた何枚かの書類。
判子がないので、後日持ってくるのもあればその場でかけるものもある。
説明を聞きながら先を促すと、最後の言葉に身を固くする。
「芸能界では…ゴシップは禁物です。
厳しいことを言いますが、恋愛は言語道断。
もし何年かたって自身の幸せを望みたい場合は、
結婚を考えているたった1人のお相手、なおかつタイミングを間違えず、ファンが認めるような……そして過ちを起こさないような相手でないと当事務所は許しません。
そして、当事務所が許さないということはどういうことか…わざわざ言わなくても分かるでしょう。」
吉井さんの瞳が鋭くなる。
その視線を私は逸らせないまま、黙って話を聞く。
このままじゃ、ダメだ。
それは、直樹たちにも、私にも、言えること。
このままじゃ、ダメなんだ。
意志が強くなればなるほど、
薄々見つけ始めていた答えは
簡単に形となった。