第20章 現場と決意
「あの……
私、芸能界に入りたいです!」
あの熱い視線が飛び交う中、朗らかに、セクシーに笑う女優さん。
何をするにも格好がついて、何をしていても可愛い彼女達。
それは、凡人の私には縁のない煌びやかな世界。
きっと、中身はどろどろしたものかもしれない。
足の引っ張り合うような腹のさぐり合いかもしれない。
それを覚悟して…私は女優になりたい!
「…やっぱり」
吉井さんがニヤニヤと笑みをはりつけて言う。
「え?」
「言いにくいんですけど、作戦だったんです。
…きっと言葉で言ってもあなたには伝わらないと思ったので。
現場の…しかも神崎ヒロキの撮影を見れば意見が変わるかなぁと思ってね。
私の読み、当たりましたね」