第20章 現場と決意
神崎さんは適当に理由をつけて、女性陣を後にすると、私を隅まで引っ張ってきた。
「ちゃんは撮影中、カメラマンの付近にいてね。
ちょっと遠いかもしれないけど、現場の雰囲気とか、掴めると思うから。
あっ。
そう言えば俺、自己紹介してなかったね。
俺は神崎ヒロキ。…よろしくね、ちゃん」
にこやかにそう言った神崎さんは私に大きな衝撃を与えた。
…か、神崎ヒロキってあの神崎ヒロキ!?
芸能界とか、そういうのに疎い私でさえ聞いたことのある名前。
彼は芸能界でもトップスターの人。
「あ、は、はい!」
そんな人と話せているなんて、正直驚きを超えたものがあった。