第16章 朝と深琴 *
ただその唇から伝わる熱だけが本物なんだと
頭の片隅でそう思った。
「っ……ん!」
唇を舐めるようなバードキス。
私の腰に回された腕は力強くて、身をよじって逃げようとしてもそれは許されない。
「んぅッ・・・深琴くっ…んん!」
深琴「ん、・・・・・」
唾液さえも奪われてしまうのではないかと思うほどの強いキス。
私の内に燻る熱はそのキスに煽られて快感が強まっていくのがわかった。
でも、これ以上は・・・!
私は意を決して深琴くんに言葉を伝えようとするが、それはやはり叶わなかった。
「ぁっ、やッ・・・!」
彼の指先が肌に触れて、私の口から漏れるのはいつものあの喘ぎ声。
否応にも感じるこの身体が嫌になる。
深琴「さん、はぁっ・・・えろい・・・」
深琴くんの熱が、私の熱が、混ざりあった。