第15章 『 恋愛 』
ふと時計を見やる。
気が付くと30分ほども考え込んでいたようで
だいぶ時間が経過していた。
「好き、嫌い、好き・・・」
意味もなくその言葉を口にしてみる。
けれど見えてくるのは何もない、いつも見慣れている部屋の天井。
そもそも、私は恋というものをしたことがない。
小学生、中学生、そして今高校生であるわけだが、
周りが浮ついた雰囲気を醸し出していても私がその輪に混じることはなかった。
その理由は様々あるが、きっと一番はこれ。
恋愛を面倒がって、億劫がって、そして。
ーーー『お前は誰からも愛されないよ』
ーーー『すがって、捨てられる惨めな人生を送りたくなきゃ・・・・・・・恋なんて一時的な幻想は抱くんじゃねぇ』
ーーー『けど、どうせお前も同じなんだよ』
ーーー『だって、』
「---『お前はあたしの娘だからね。』」
私が恋愛を遠巻きにしていた一番の理由は。
きっと
恋愛自体を
怖がっていたから。