第5章 はじまり
身体が固まり、持っていたバックを思わず手から滑り落とす。
それを予測してたかのように誠はひょいとそれを持ち上げると
「あっちはあっちでうまくやってんじゃん」
と向こうを見た。
「っば、ばか!」
私は誠からバックを受け取りチラリと深琴君たちを確認した。
優菜は顔を真っ赤に赤らめながら、深琴君も少し照れつつ話していてなんだかいい雰囲気だ。
…良かった。
これならデートもうまくいきそう…
ホッと安堵した私には知るよしもなかった。
ここからはじまる波乱のデートと、その先に続く蜜の時間のことを。