第1章 ~第一章~その後の二人
―アランside―
湖に行く準備をしてくると部屋へと戻って行くユヅキを見届けた後、アランも自分の部屋へと向かい早々に着替えを終えていた。
(…どうせあいつのことだから、服を選んで着替えるのに一、二時間はかかるだろう)
そう思い、アランはキッチンへと向かった。
―――――…
(昼食もまだだし、ユヅキと一緒に湖でサンドイッチでも食うか)
そう思って、サンドイッチを作っているとキッチンにレオがひょいっと姿を現した。
レオ「あれ?アラン、何作ってるの?…もしかして、これからユヅキちゃんとデート?」
そう言って楽しそうに笑うレオを、アランは眉をよせて睨んだ。
「…だったらなんだよ。あんたには関係ないだろ」
レオ「相変わらずアランは冷たいなぁ~…でもアランの作る料理は美味しいよね」
そう言ってアランが止める間もなく、レオはサンドイッチを口に含んだ
「っ!!おい、それはあんたのために作ったんじゃねーぞ。勝手に食うなよ」
そう言ってお皿を取り上げられたレオは一瞬、寂しそうな顔をしたがすぐに笑顔に戻った。
レオ「ちょっと味見しただけだよ。まぁアランが俺にくれないことぐらいわかってるし、気にしてないけどね」
そう言って口角の右端をあげて笑いながら去って行こうとするレオに、素っ気なくアランは声をかけた。
「…おい、腹減ってんならこっちをやるよ」
そう言ってアランはマフィンが2つ乗ったお皿をレオに差し出した。
レオ「……いいの?」
すごく驚いた表情をしたレオだったが、その目には嬉しさが滲んでいた。
「…あぁ、昼食にはまだ早いからな。いらねぇなら別に無理に食えとは言わないから返せよ」
レオ「ううん、ありがとう…すごく嬉しいよ。ユヅキちゃんとのデート、楽しんできなよ。アラン」
そう言って嬉しそうに去っていく兄の姿を見届けた後、アランはサンドイッチが入ったバスケットを片手に自分の部屋へと向かうのだった。