【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第20章 暴走
糸が切れたようにリアの身体がゆっくりと傾くと、先程までこの空間を支配していた圧迫感は綺麗サッパリ消え去った。
「シズク、部屋かてに入るね」
そう問いかけるとシズクは首をコクコクと何度も縦に振り、返事をした。
フェイタンはそのままリアを肩に担ぐとシズクの部屋へと消え、またすぐに戻って来る。
「本来ならお前が止めるところね、シャルナーク」
呆れた目をシャルに向ける。
しっかりするね、という意味を込めて背中を叩くと下肢の力が抜けてしまったのか、ドサリと床にへたり込んでしまった。
「腰抜かしてる場合と違うよ」
フェイは構わず冷たい視線を送る。
「…………ごめん………」
今のシャルにはたったそれだけを言うのが限界だった。
決して、リアのオーラの絶対量が視えてそれに驚いたのではない。
並外れた能力を持つ者の暴走が一体どういうことなのか、気づかされた感じだ。
俺が俺を自動操作するということは、こういうことなのだと。