【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第20章 暴走
なんとも言えない重苦しい雰囲気がアジト全体を包む。
静まり返ったアジトには団員の呼吸音だけが異様に響いた。
「何があった?」
流石の事態に部屋から出て来る団長。
蜘蛛の頭である団長が問いかけても、何1つとして答えは返って来ない。
口をパクパクさせ、言葉を探す者。
説明する言葉が見当たらず、目を泳がせている者。
全く状況把握の出来ていない者。
「リアが暴走したよ」
そんな中、唯一話せるのはやはりフェイタンだけである。
「もう少し詳しく聞いても良いか?
より正確に把握しておくに越したことはない」
「リアがヒソカのオーラに充てられて我を失たよ。
殺らなきゃとか言てたね」
「殺らなきゃ、か。
殺らなきゃ殺られる…だな」
ふぅ、と困ったように短く息を吐いた。
「まるで同じ症状だな」
と、フェイに目をやる。
「同じよ。
リアとワタシ、背負てるものが」