【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第28章 内緒の涙
「泣いても良いよ。
もう我慢しなくたっても、1人で頑張らなくても良い。
大丈夫だから」
そう頭を撫でられると、堪えていたものが一気に溢れ出した。
「っ…ぅ…シャル…ひく…」
シャルの服を握りしめ、子供のように泣きじゃくる。
「こ、怖かった…」
嘘偽りない私自身の声。
「辛かった…」
初めて、人前で弱音を口にする。
今までは口にすることすら叶わない環境下にあったから。
「辛かったね、よく頑張ったね」
私が泣き止むまで頭を撫で続けてくれている。
「リア…眠かったら、寝ても良いからね…?」
泣き疲れてなのな、安心したからなのか、急に眠気に襲われた。
「寝てて良いよ?
俺アジトまで送ってくし」
「…じゃあ…」
遠慮がちに口を開いた。
「ん?」
「眠るまで…こうしていてくれますか…?」
「良いよ」
少しゆったりしたリアの声。
「いつでもしてあげる」
抱きしめることなのか、頭を撫でることなのかは分からないけど。
こんなことで良かったらいつでも。
終わり。