【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第2章 試しの門
「申し訳ありません、連絡が遅れました。
旦那様の元までご案内します」
メガネに少し触れると、恭(ウヤウヤ)しく頭を下げた。
「カナリア、リア様は旦那様や俺の許可がなくとも屋敷へ通して良い。
妙な気を張るな、死ぬだけだぞ」
カナリア、というのが彼女の名前らしい。
「分かりました」
案内をする、と言ったゴトーはリアよりも後ろを歩いている。
「後ろを歩いて案内が成り立つのですか?」
疑問をそのまま投げかけた。
「あ、それもそうですね。
気がつきませんでした。
執事には “ 雇用主の前や横を歩くべからず ”、という暗黙の了解がございまして」
「私は雇用主ではありませんよ」
クスリ、とおかしそうに頬を緩める。
「同じようなものです。
リア様は雇用主と同等として扱うように、との旦那様からの命ですから」
「不思議な命令ですね」