【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第2章 試しの門
1歩屋敷へと近づけば。
「なりません、聞いておりませんから」
と、牽制された。
「旦那様や執事室からそのような連絡は一切受けておりません。
お引き取りください。
この線を越えたら実力で排除します」
足下に引かれた線に目をやり、ギュッと杖を握り直した。
「相手との力量の差を計れぬ程、愚かではありませんよね?」
少しずつ、だがかなりのオーラを彼女に当てる。
「っ…なりません」
一瞬恐怖の色を浮かべたが、それ以降は覚悟の決まった顔をしている。
命を懸けて阻止にかかる気ですね。
死ぬまで通してくれなさそう。
かといってこのまま黙って帰る訳には行かない。
気絶させて通るのがベスト、と考える。
ジリ…と1歩近づくと。
「なりません、リア様」
低い男の声が響いた。
「あっ…」
女の子がハッとした表情を浮かべる。
「ゴトー…」
この屋敷に古くから仕える執事、ゴトーだった。