【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第14章 得意なこと
確か名前は…。
「イルミ…さん?」
そんな様な名前だった気がする。
「うん、そうだよ。
久しぶりだね」
感情の籠っていない平たい声色。
私を写すことのない黒い瞳。
「父さんに案内するよう言われてるから。
着いて来て」
質問の時間を与えず、試しの門を軽々と開けた。
ギィィィィィッ。
人間離れしている。
華奢な身体のどこにそんな力が備わっているのか、皆目見当もつかない。
「見てないで着いて来てよ」
「すみません」
私はあまり彼に好かれていないようだ。
「君ってさ、どうして薬師なんてやってるの?
しかもうちと取引してるなんて。
ねぇ、どうして?」
強くない君が、という雰囲気をビリビリと肌に感じる。
「私に聞かれても分かりませんよ。
そもそもどうしてそこまで強さにこだわるんです?
多少は分かりますけど少し異常のように感じます」
「さぁ、知らない」
あっさりと言われた。