【HUNTER×HUNTER】漆黒人形〜ドールな薬師〜
第13章 表か裏か
「抱きしめたことよ」
耳元で囁くように告げるが、皆には丸聞こえである。
「え?そ、それは…。
なんというか…衝動的にというか…。
身体が自然と…」
タラリと一筋の冷や汗を流す。
「身体が自然と動いちゃう程、シャルって軽い男なんだね!」
理解したかのようにポン、と手を叩いたシズクさん。
「違うってば!」
「まぁ良いじゃねぇか、そんな細かいことはよ」
もっと気楽に生きようぜ、とウボォーギンさんが口を挟んだ。
「…本当に抱きしめられた、の?」
いつの間にか目の前に来ていたコルトピさんがオズオズと遠慮がちに尋ねた。
「抱きしめるってこういうことですよね?」
目線を合わせると、フワッとその小さな身体を包み込んだ。
「うん、そうだよ」
微かに髪が揺れたのを見て、頷いたのだと分かる。
「本当ですよ」
拘束を解きながら先程の質問に答えた。
その瞬間、アジト内は静寂に包まれた。