第3章 弱い俺
「一松〜、どう?まだしんどい?あ、寝てた?ごめ〜ん」
お粥を綺麗に食べ終え、横になっていたらいつの間にかうとうととしていたらしい。おそ松兄さんが部屋に入って来たことでハッと目が覚めた。俺に話しかけてきた。
「ぼーっとしてただけ…。まだちょっとだけしんどいかも」
布団から起き上がらずに、しゃがんで俺を覗き込んできたおそ松兄さんを見たら、くしゃっと頭を撫でられた。
「そっか。……今回は俺もダウンしてたから一松の話聞けてやれなかったけど、大丈夫か?溜め込んでない?」
「…大丈夫」
「…あんま無理すんなよ〜?」
おそ松兄さんはニッと子供の頃から変わらない笑顔を向けてくれた。6つ子なのに、同い年なのになんでこんなに年上のように感じてしまうのか。
おそ松兄さんは昔からモテていた。明るいし面白いし、モテ要素が詰まっていた。同じ顔なのになんでこんなに違うんだろう、って何度も考えていた。おそ松兄さんが羨ましかった。瑠璃と一番仲が良いのもおそ松兄さん。それかトド松。やっぱりコミュ力高い奴が女にモテる。
あぁダメだ。熱が出てるから、余計に内気になってしまう。しかも、こんなことをおそ松兄さん本人に言えるわけがない。
「無理なんかしてないから…」
「お兄ちゃん心配してるんだからね〜?」
今でもやっぱり、おそ松兄さんが羨ましい。
「そうだ。一松〜、ちゃんと瑠璃にお礼言っとけよ?一松が寝てる間ずっと看病してくれてたんだから」
「え」
「甲斐甲斐しく、おでこに冷た〜いタオル乗せてやってたんだぞ?」
俺が先程目覚めた時、ちょうど瑠璃が冷タオルを額に乗せてくれていたものだと思っていたが、まさかずっと看病してくれていたとは思ってもいなかった。
「…瑠璃は?」
「さっき瑠璃の母ちゃんに呼ばれて帰ってった!ネギ買ってきて!っていうおつかい〜」
だから今度会った時、ちゃんとお礼言うんだぞ?とおそ松兄さんはまた俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「撫でるのやめて」
「一松くんはたまには甘えなさ〜い」