第4章 デート(仮)
「……あ!じゃあさ!」
「今度はなに」
「もうご飯食べた?」
私の脳内は、一気に猫から今からのご飯の予定にすり替わっていた。ハンバーガーを食べて家に帰ろうと思っていたけど、もし一松がまだご飯を食べていなければ、あのリア充の集まるおしゃれカフェに一松を連れて行き、周りのリア充から浮かずにご飯を食べれるのではないのか、という考えに至っていた。幸い、一松の格好はいつものジャージ姿と違い、つなぎを着ているのでギリギリセーフ。
問題は、一松があんなおしゃれなカフェに行くと言ってくれるのかどうか。
「まだ食べてないけど…」
「本当に!?じゃあさ、今から私とご飯食べに行かない!?」
「ハンバーガー?」
「違う違う!カフェなんだけどね、行ってみたかったところあってね!でも、女一人で行くの結構痛いし、かと言って女友達誘っても周りカップルばっかりで虚しくなるって言われて断られるし…」
そう、一人で行けないなら女友達を誘えば良いと思い、この前友達を誘ったのだが「自らリア充の中に飛び込む馬鹿な真似はしたくない」と言われてしまったのだ。でも、一松なら男、もしかしたら一松には申し訳ないけどカップルに見えて、私たちもリア充してますオーラが出るかもしれない、ということで一松を利用させてもらおうという…。
「え…今金持ってないんだけど」
「あぁ、いいよ別に!奢ってあげる!昨日給料日だったから懐暖かいんです」
「いや、でも…それなら、おそ松兄さんとかトッティ誘った方が良くない…?俺なんかと行くよりさ」
一松はいつものように自分を蔑むように言った。
「おそ松は一回奢ったら味締めちゃってまた奢れって言ってきそうだし、トッティはずっと写真撮ってそうだし…まぁ、その姿が本当の女子の姿なんだろうけど…。あ。ちなみにチョロ松だと、ずっと周りの雰囲気とかに緊張してそうだし、カラ松は痛いから私が恥ずかしいでしょ?十四松は子供の面倒見てないといけないような気分になっちゃうし…。ってことで、一松が最適なんです」
「…」
「ねぇねぇ、お願い!!一松以外に一緒に行ける人いないんだって…!!」
我ながら、おそ松みたいな誘い方をしてしまったな、と思ったけど仕方ない。本当に行きたいから、無理にでも一松を連れて行ってやる。