第3章 弱い俺
額に冷たさを感じて目が覚めた。ゆっくりと目を開けると、部屋の中はオレンジの蛍光灯に照らされていた。起き上がろうと思い、腕に力を入れようとしたら横から声を掛けられた。
「あ、ごめん、起こしちゃった?」
声を掛けられた方を見ると瑠璃が座っていた。
「いや……今何時?」
「夜の7時」
「え」
夜の7時と言われ、そんなに寝ていたのかと思い外を見てみるとカーテンで遮られていたし、部屋がオレンジの蛍光灯に照らされていたから、もう夜だということがわかった。
「調子どう?まだしんどい?」
そう瑠璃に話しかけられ、腕に力を入れて起き上がってみると、先程までは起き上がれもしなかったぐらいだから、比べると楽になったとは言える。だが、まだ頭の中がぐわんぐわんと叩かれているような痛さではある。
「ん…さっきよりは楽になったけどまだしんどいかも」
普通に声は出せるようになった。明日には治ってそうな感じだ。
「そっか…。お粥あるけど、食べれそう?」
「…チョロ松兄さんの?」
「違う違う、私が作ったやつ。バナナ粥じゃなくて卵粥です」
「…なら食べる」
「わかった、それじゃ温めてくるから待っててね」
チョロ松兄さんのお粥だったら遠慮しておこうと思ったが、瑠璃が作ってくれたお粥らしいのでありがたくいただくことにした。腹も先程と違って空いている。
「ありがと…」
「…一松がありがとうだなんて珍しい」
と、余計な一言を呟いて瑠璃は出て行った。
立ち上がって電気を点けると、当たり前だけど誰もいなかった。他の奴らは居間にでもいるんだろう。
頭は痛いし、身体中がまだ暑いけど瑠璃が看病してくれるなら…なんて一瞬思ってしまったが、知らないうちに瑠璃に弱音を吐いてしまいそうでみっともないし、今までそんな姿を見せないように努力してきた意味がないからやっぱり二度と瑠璃に看病されることがないようにしようと思った。