第2章 風邪っぴきさん
「え…全然知らなかった…。なんで言ってくれなかったの…?」
高校2年は、一松と同じクラスではなかったが、1年の頃は同じクラスで、客観的に見ている限りだとクラスが嫌で嫌で…という雰囲気は一松感じられなかった。況してや、2年は一松と同じクラスではないし、気に掛けることなんてしたこともなかった。
「一松が、瑠璃には言わないでくれってうるさかったんだよ…」
何を見栄張ってたんだろうな、とチョロ松は呆れたように溜息を吐いた。
「たしかに、高校生の頃だったら家族以外に見られたくないこともあるもんね」
「まぁね…」
「チョロちゃんだと、ニャーちゃん大好きってとこ?」
「は!?ち、違…!僕は応援してるだけであって…!!」
最近おそ松から教えてもらった、チョロ松がアイドルのニャーちゃんファンだったことをイジってみたら、チョロ松の顔が一気に真っ赤に染まりあがった。
「ニャーちゃん可愛いもんね~」
「て、てかなんで知ってんの!?」
「ん?この前おそ松から聞いちゃった」
「!?も、もしかして僕の黒歴史のあの握手会…!?」
チョロ松は顔を真っ赤に染めたり、青くしたり忙しく表情を変えていた。
「あ~、おそ松が下品なこと言いまくったやつ?」
「んのぉぉぉぉ!!そんなことまであいつ言っちゃってんのぉ!?あいつなんなの!?自分がやらかしてるのに何言っちゃてんの!?」
「…う、るさい」
チョロ松の盛大のツッコミ、ではなく盛大の嘆きに寝込んでいた一松がもぞもぞと動き、呻いた。どうやら起こしてしまったらしい。