第1章 努力[黒子テツヤ]
部室に絆創膏を取りに行きながら、僕はふと思う。
僕がもし、スタメンになれたとしても…
他に、変わりはたくさんいる。
特別な才能もない。無名。3軍。
そんな僕がこれからもスタメンをめざしていいのだろうか?
今までの昇格テストは全て2軍にさえ上がれなかった実力だ。このままでは1軍レギュラーなんて夢の夢のまた夢だ。
バスケが大好き。
でも、それだけじゃ……………
僕は………
どうしたらいいんでしょうか?
部室に着き、絆創膏を膝の擦りむいたところに貼る。とにかくはやく戻って練習を………
その時
机の上にあったカッターが目に止まった。
何故だかはわかりません。でも、なんだか…このカッターで…全てを…解決できるような気がして。
リストカット、という考えが頭をよぎる。
もちろん、今まで自傷経験なんてありません。でも…自分でもを罰する、という意味ならいいかもしれませんね…。
もう誰も残ってる人はいません。
これで…気持ちが落ち着くのなら。
僕は少しずつ確かめるようにカッターの刃を出していく。
チキ…チキチキ…
ある程度刃を出して、それを左腕に押し当てる。
不思議と…怖いなんて気持ちはなくって。
そのまますっ…と刃をひいた。
まるで真っ白なキャンパスに赤い絵の具で線を引いたようだ。そんなに力を入れていないのに…真っ赤な血が、たくさん出てきます。
自分を傷つけることができた。
不思議です。気分が…落ち着いていくのが感じられます。
「あんまりやるとバレそうですね…せめて手首だけにしてたら、リストバンドでも隠せるし…大丈夫ですよね」
僕はこの時は思いもしなかった。
誰も見ていない、そう思ってたのに。
赤司くんが一部始終を見ていたことを。