第2章 新たな仲間
少年は気絶した女の人を連れて、歩き出した。私は気づかれないようにその後を追う。そしてついた場所は警察署だった。その少年は女の人を中へ連れていく。女の人は警官のようだった。それから、小一時間経つ。しかし少年も女の人も出てくる気配がない。
『………………』
そろそろお腹が空いてきた。実際にさっきからお腹の虫はなり続けている。
『…………あの少年のことは室長に報告すればいっか。』
私はお腹の誘惑に勝てず、フラフラとその場から立ち去った。
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「あんた!大丈夫だったのかい!?」
食事を済ませ、電話を求めて街をさ迷っていると、先程のオバチャンが私のところに走ってきた。
「またあの教会で人が死んだって言ってたから、あんたかと思ったよ。良かった無事で。」
どうやら街中その話で持ち切りのようだ。私は彼女にお辞儀をし、電話を貸してくれるように頼んだ。そしてその道中、
「警官が殺されたんたってさ」
「ひでぇ有様だったらしいぜ」
「あの噂はほんとうだったんだ」
「取り付かれてんだよあの教会は。マルク牧師といいよ」
とすれ違う街の人々がそんなことを言っているのが聞こえた。…マルク牧師ってあの教会の前の持ち主?
『あの…マルク牧師って亡くなられたんですか?』
私がおばちゃんに聞くと、おばちゃんは声をすぼめて言った。
「いいや。死んだのは彼じゃなくて、その嫁さんの方さ。結婚してまだ間もないってのに不慮の事故で死んじまって、残されたそのマルク牧師も気が触れちまって…。ほんと可哀想なことだよ。」
………なるほどね。如何にも伯爵が好きそうな展開だ。神を呪った牧師か…。これで大体アクマが目星がついた。これ以上被害者が増える前に、早く連絡しなくては。
『……その牧師さんって今は…』
「ああ……確か今は協会の隣にある家に……」
オバチャンの声は大きな音によって、かき消された。音の方向は…………やはり教会のあたり!
『ごめんおばちゃん!私行かなくちゃ!』
誰も死んでいませんように…私はそう思いながらひたすら走った。