第6章 孤城の吸血鬼
『いたっ!』
私は城の中に連れてこられて、乱暴に下ろされた。クロウリーを見ると、豪華な洗面所でまだ吐き続けていた。アレンの血は美味しくなかった…そういうことだろう。その足元にはフランツさんがピクリともせず、仰向けに倒れている。……次は私の番だ。
「おかえりなさいませ。アレイスター様。」
私が顔を青くして、自分の番を待っていると、突然綺麗で甘い声が部屋をこだました。私はその姿に目を奪われた。稀に見る美女だったからだ。
『…美人がいる。』
彼女を見て私は一瞬で理解した。彼女はクロウリーが愛している女性なのだろうと。吸血鬼が出てくる話にはよくあることだ。人を襲う吸血鬼がとある女性と出会い、恋に落ちる。そして吸血鬼は餓えと乾きで、女性を襲い、そして自らも太陽の光を浴びて女性の後を追う。純愛のストーリー。
「あら、正直な子は好きよ。……って何泣いてるのよ!?」
『ズビッ。いえ、ちょっと純愛だと……』
「はぁ?」
「エ、エリアーデ、わわ、わたしはまた……きゅきゅきゅ吸血鬼になってしまったである…」
ある?先ほどと雰囲気がまるで違うクロウリーの姿がそこにはあった。クロウリーは泣いていた。
そして、私という邪魔者がいながらも二人は愛を誓い合い、口づけをした。私の涙腺はもうダメだ。
「……ところでクロウリー様。あの汚い女は一体誰なのですか?」
ズビッと私は鼻をかんだ。…ん?私の話?
「と、討伐に来た村人たちの中に私と同じ奇怪な者たちがいたある。彼らの仲間…だと。」
「ううっ!私感動しました!!」