第6章 孤城の吸血鬼
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「俺っスか」
散々列車内を探し回ったが、アレンとリオの姿はなかった。そして、前の駅で乗りそびれたのだということが分かる。
「お願いラビ!アレンくんもリオ探してきて!!アレンくんはともかくリオは結構おっちょこちょいな所あるから、心配なの!」
「行け。今ならお前の如意棒でひとっ飛びだろ」
「槌だよパンダ♡
いや、いいんだけどさぁ~なぁんかヤな予感すんなぁ~」
そんなラビにリナリーがずいっと顔を近づけていった。
「……もし、アレンくんがリオに何かしてたら……ちゃんとここに連れてくるのよ?」
その顔はいつもの優しいリナリーではなく、容赦ない顔だった。ラビは黙って何度も頷いた。
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『……き……汽車が……』
「汽車…行っちゃった」
辺りはもう暗くなり、私たちは汽車が行った方を呆然と眺めていた。
「申し訳ございません。修道士様方。だがしかし!こちらも急を要するものでして…どうか私どもの村をお救い下さい!黒の修道士様!!」
『え?』
「へ?」
そして、アレンが抱えられて変質者にどこへか連れていかれそうになった。私はどうしようかと思っていると、がしっと私の手をアレンが掴んだ。
「…リオぉ」
目をウルウルとさせ、目線はやや上目遣い。私は悟った。アレンには逆らえないと。渋々アレンと変質者の後を付いていった。ちなみに変質者は村長のゲオルグと言った。
「皆のもの!神に祈りが通じたぞ!」
村長は家の扉を勢いよく開けると、その中では多くの武器を持つ人々がこちらを上から下まで見た。私の顔は引きつっているのがわかった。
「うおおおおお~!修道士様だーーー!」
村人はアレンに抱きつき、口々に奇跡だと言い合った。しかし、何故かアレンは椅子に縛られ、わたしはと言うと結構ピンチだったりする。
「おい、彼女も修道士様なのか?」
「いや、彼女には十字架はない」
「一応縛っとくか?」
じりじりとこちらに近づいて来る村人達。
「彼女に手を出さないでください!出したら、僕はあなた方の話なんて聞きませんよ!!」
それは効果てきめんだったようだ。私は縛られずにアレンの隣に座らされた。