第6章 孤城の吸血鬼
その後、飲み物を買い忘れた私はそれを買って、列車へと向かった。ついでに皆の分も買ったから結構重い。リナリーも買っていると思うけど、一応ね。
「キライよ…アレンくんの左眼なんか。キライ…」
私が列車へと戻ろうとした時、奥の方でアレンとリナリーが話しているのを聞いてしまい、私はとっさにもの陰に隠れた。リナリーが泣いている姿を見て、一瞬アレンを殴ろうかと思ったが、私が出る幕ではなさそうだ。
「何度だって助けてやるんだから!」
リナリーはアレンの頭に置いた晩御飯を取って、走り去った。おっと、私もそろそろ乗らないと。
プルルルルル
列車が動き出すベルが鳴った。私は列車に乗ろうと手をかけた。が、
「リオ!まっ、待って下さい!!」
アレンに手を掴まれ、それは阻まれた。
『ちょっ!?アレン、私早く乗らないと……』
後ろを振り返ると、アレンに乗りかぶさる人影が。それは誰がどう見たって変質者だ。変質者は私を見てにやっと笑った。その顔は泪に濡れていた。
『へ、変態が!!……アレンっ!離してぇぇ!!』
早く汽車に乗らないと!!
「そりゃないですよ!!助けてくださいよぉぉ!!」
『変質者1人くらいアレンならどうにでもなるでしょーーー!!!』
私たちの叫びも虚しく、列車は無情にも走り去ってしまった。