第4章 不可解な夢と自分の力
『ベ……ン?』
既に目に光がないベンを私は揺すった。体はまだ温かく、今にも起き上がってきそうだ。
「ありゃ、お兄さん死んじゃったか」
『っ!?』
男が私の顔を覗き込んでいった。エクソシストは既に息をしておらず、目を開いて倒れている。その後に倒れているのはラックだろう。怖くて見ることが出来なかった。
「おーおー。まだ若いってのにこんなところに来させられちゃって。可哀想に。」
『…………あ……あ……』
後ろで何かが壊れる音がした。結界装置が壊されたのだろう。アクマたちが動く音が近づいてくる。
「お嬢さん。死ぬのは怖いか?」
男がにこりと微笑んだ。そんな男の後ろから覆いかぶさる影が。
『ラック!』
「あーあ。怖い怖い。あんたらそこに転がっているエクソシストよりタフだよ。あんたらがイノセンスを持っていたらと思うとゾッとするぜ。」
男は動いてすらいないのに、振りかざした武器ごとラックの手が体から離れた。ラックの元に駆けつけようとするも男が立ちはだかった。
「俺との会話が終わってねぇのに、ほかの男のところに行くなんて失礼だろ。もっと話そうぜ。」
『……どいてよ』
「好きな奴らだったか?この中に恋人がいたか?家族がいたか?分かるよお嬢さんの気持ち。俺にだっているからな。そんな奴ら。」
『……いいからどいてよ』
「……へー。お嬢さん、そんな顔もできるんだ。若いが場数はかなり踏んでるな。殺気すげぇよ。」
『うるさい!!いいから……』
私は言葉を止めた。何か歌が聞こえるからだ。歌っているのは誰?
「せんねんこうは…さがしてるぅ♪だいじなハートさがしてる… ♬わたしはハズレ…つぎはダレ… ♬︎」
瀕死で意識がないはずのケビン元帥だった。