第4章 不可解な夢と自分の力
「お兄さんら、強いねぇ。イノセンスも持たないのにアクマと対等にやりあうなんて。」
男はベンに言った。男は人型でエクソシストとベンのコンビとやり合っている。
『………ラック。』
私は思いついたことをラックに言った。
『あの男とアクマに結界装置して、その隙に病院へと行けないかな?』
こちらの手元には少々の結界装置がある。すぐに破られるだろうが一瞬の隙をつければいい。そうすればケビン元帥だけでも病院へ逃がすことが出来る。
「お前が後ろのアクマに結界装置をしろ。俺はあの男にして、ケビン元帥を連れていく。」
『分かった。』
そして、ラックの合図で私たちは走り出した。アクマたちが機敏に反応するが、こちらに攻撃はしてこなかった。チャンスだ。私はアクマたちから逃げるふりをして結界装置をしかけた。……今だ!
『結界装置!!』
私は結界装置を仕掛けた。こちらは成功した。私はほっとして、振り返った。
「………グッ………ゴホッ」
『ベン!?』
しかし、振り返ったその光景は私が思い描いていたものと違うものだった。男は結界装置などものともせずに、ベンを刺していた。本当はそれはエクソシストに刺さるはずをベンが庇ったのだ。ベンはその場に倒れた。
「くそっ!」
「おっ!今度はお兄さんか!」
ラックの攻撃を楽々と避けて男は楽しそうに言った。私はベンの所へ走った。
「………リ……オか。す……まねぇ。」
『謝らないで!すぐ病院に連れていくから!』
止血しようとするが、どくどくと生々しい血が止まらず、ベンの胸から流れていく。
「俺は……も……だめ……だ……」
『嫌!そんな事言わないでよ。私まだまだベンに教えてもらわないといけないこと沢山あるんだから!』
「も……ねぇよ……りっ……ぱに…なったって………親父さ…んに…言って」
血が止まらず私の手から流れ落ちていく。
『やだ。やだやだやだ!言わなくていい。言わなくていいから!!私まだ何もベンにしてない!』
涙が溢れてくる。
「……な……くなよ。けっこ……楽し…かったぜ……ありが……」
私が辛くて泣いていた時、いつもその大きな手が私の涙を拭き取ってくれた。そして、ラックにはないしょなと笑いながらアイスなどをくれたりするのだ。そのベンの手が私の顔へと伸びる前に力をなくして、地面へと落ちた。