第4章 不可解な夢と自分の力
「……どうだった?」
ベンと無事合流すると、ベンは私たちに尋ねた。私は首を振る。
「師匠!!」
隣では半泣きでケビン元帥に声をかけるエクソシストの姿があった。そっか、この人、ケビン元帥の弟子だった。
「ここから近いところに黒の教団の病院があるはずだ。」
私たちは無言で走った。いつ敵が来てもいいように隅々まで目を光らせた。見たところアクマの姿はない。あとは、その角を曲がったら目的地の病院……
「お!見っけ」
男の声がしたかと思うと、私たちはアクマによって退路を塞がれた。…病院は目の前だっていうのに…
「あー良かった。ちゃんと罠に引っかかってくれて。」
やけに身なりのいい男が私たちの前へと立ちはだかった。これで私たちは戦うしかなくなった。
「くそっ!」
ベンがエクソシストを連れて、男に向かって走り出した。私とラックは後ろのアクマだ。やはりもう一人の女もアクマだったようだ。にやにやとこちらを向いている。その他の3体はレベル1だ。それが全部こちらに向かってきた。私は死を覚悟した。
「ノア様をお守りしろ!」
しかし、アクマたちは私たちなど目も向けず、通り過ぎた。………ノア?
「ベン!!エクソシスト様!!」
ラックはアクマの一匹を殴り飛ばし、私は二体のレベル1を向こうへ行かせまいと止めた。しかし、レベル2だけはみすみすと行かせてしまった。だけど、そっちばかり気を取られてばかりではいけない。レベル1がこちらに攻撃しようとしていたからだ。私たちは武器を構えた。
「止めろ。」
しかし、男の声に身を震わせたアクマたち。
「ここは俺がやる。お前らはすっこんでろ。」
男はエクソシスト様の攻撃を避けながらも、余裕そうにこちらを見ていた。だが、彼に隙など全くなかった。
「しっ、しかしノア様…」
ノアと呼ばれた男は帽子を取った。その男は神田に並び顔の整った美形だった。
「いいから下がってろって。俺の楽しみ奪うなよ。」
『……ノア?』
聞きなれない言葉に私はラックを見た。ラックも分からないようだ。
しかし、考えている暇はない。間違いないのは彼が敵だということだ。