第4章 不可解な夢と自分の力
『ベン!ベン!ここがベルギー??』
「ん?まだ国境だって。」
外は綺麗な景色が広がっていた。ベルギーは美味しい食べ物や綺麗な景色が有名な国だと聞いていたので私は興奮していた。
「リオ。お前いくつだ。落ち着け。」
ラックのギロリと睨む目で私の興奮は一気に冷めた。これでいうことを聞かなかったら今度は拳骨が御見舞されるのだ。私は慌てて、ベンの隣に並んだ。
「いーじゃねぇかよ。これのせいで休みねぇんだぞ。今くらいはしゃいでも…」
「馬鹿か。任務前に体力消耗させてどうする。それにこいつももう子供じゃないんだ。あまり甘やかすな。」
『……気をつけます』
久しぶりに会ったラックは変わらず厳しかった。まだ何もわからなかった私に手取り足取り教えてくれたのは、ラックだ。体術などの身の守り方を教えてくれたラックは私にとっては師匠。そして、ベンは私に読み書きを教えてくれた先生。
「…はぁ。しっかし、暇だな。着くまで歩き回っていてもいいんじゃないか?あちらはあちらで楽しんでいらっしゃるようだし。」
ベンの言葉に目を輝かせるが、ラックの顔を見た途端それは実現しないと分かった。
「………はぁ。ベン、連れて行ってやれ」
『えっ!?いいの!?』
だけど、ラックの返答は私の予想とは異なるものだった。
「着く1時間前には戻ってこい。いいな?」
『うん!ベン行こ!』
こんなふうにたまに飴もくれたりするときが一番ラックが大好きなのだ。