第4章 不可解な夢と自分の力
私はその日、ある任務についていた。その任務はエクソシストと共にイノセンスを回収するというものだった。私の他に長年の付き合いのファインダー二人、ベンとラックがいて、私はほっとした。そのエクソシストはあまりいい評判を聞かなかったからだ。
「鼻にかけて嫌な野郎だ」
「ああ。リオも大変だな。奴から指名されたんだろ?」
『………うん。』
あのエクソシストはわざわざ班長に次の任務に私を同行させるように言ってきたのだ。同行させないと任務を拒否すると。偶にエクソシストというだけで何でもわがままが許されると思っている人がいるが、彼の場合度が過ぎたものだ。ただでさえ、班長は忙しいのにそういう奴らの相手もしないといけないのだがら大変だ。その場に偶然居合わせた私は、班長に微笑んで二つ返事で承諾した。三日連続の任務だが、致し方がない。
「お前大丈夫か?」
『大丈夫。二人もごめんね。班長から頼まれたんでしょ?』
二人は父親と同期で、私がまだ新人だったとき面倒を見てくれたのだ。今でもお世話になっていて、私にとって父親みたいな二人だった。
「いいって。後輩のお前が頑張ってんのに、俺らがだらけちゃいけねぇよ。な?」
「ああ。それにアイツと2人きりだなんてさせたら、皆から殺されちまうしな」
頭をぽんっと叩き、気にすんなと笑う二人。本当にありがたい。私は二人に微笑んだ。
『イノセンスが確認されているってことはアクマも勿論いるんだよね。』
任務に出る前の室長の話を思い出した。最近伯爵の動きが把握できないのだという。不気味だと室長は言っていた。
「ああ。だが心配すんな。既に元帥もそっちに向かってるからな。」
『元帥が来るの?』
「ああ。エクソシストが死んでるからな。ケビン元帥が来るってよ。あの人とは何回か組んだことがあるが、あの人がアクマ相手に戸惑っているところ見たことがねぇよ。」
『……ケビン元帥かぁ。』
元帥が来るならば、この任務も早く終わるだろう。そう楽観視していた私が、それが誤ちだということに気づくのはまだ何時間もあとのこと。