第4章 不可解な夢と自分の力
そして、私は両親のことを知った。父親の顔しか知らないのは、母親がエクソシストで忙しかったから。父親はそれをサポートするファインダー。母親はクロス元帥の元で一番近く働いていたため、休みは殆どなかった。よって、ファインダーの父が代わりに私を育てていた。
二人が死んだのは祖母が死ぬ数日前。二人はお互いの手を繋ぎ、残った片方の手には親子三人が写ったペンダントを握られていたという。周りには母親が壊した多くのアクマの死骸があっり、魔術師でもあった母親はとても強く、その任務の後元帥と昇格するはずであったらしい。
それを聞き、私は室長になぜ私がここに連れてこられたのか尋ねた。私はそんな母親にあったことも無いし、戦争とやらにも関係ないはずだ。すると室長は言葉を濁して笑った。その表情は、母親のことを聞いた時の父親のそれととても良く似ていたので、それ以上は何も訊かなかった。
また、私は検査の後遺症で、人とは違うからだとなった。怪我の治りは早く、体は強くなった。遠くを見渡せる目となったが、代わりに近くのものが眼鏡なしではよく見えなくなった。そしてなんといっても、一番ショックだったのは、私の体はもうすでに女性のそれとは違うことだった。薬漬けの影響で、生理はこない体となった。私は女として劣った存在となったのだ。
だけど、私は別にもうそれ以上気にすることはなかった。私には皆がいてくれればそれで良かったからだ。イノセンスを持たない私はファインダーとして、教団に残った。学がない私には科学班にはなれないし、それに父親と同じ景色を見ていることがすごく心地よかった。そう、これでいいのだ。たとえ殉職したとしても、皆の役に立つのであれば、私はそれで構わないのだ。
だから、こんな訳が分からない力なんて要らなかった。