第3章 黒の教団壊滅事件
「何だとコラァ!!もういっぺん言ってみやがれ!ああっ!!?」
「おい、神田だ。」
『神田?』
振り返ると、涙のあとがある体が大きな新人ファインダーが神田に突っかかっていた。話を聞いてみると、神田が余計な茶々をいれたらしい。
「テメェ…それが殉職した同志に言うセリフか!!」
はぁ、あの冷徹仮面め。何もそんな事本人の前で言わなくてもいいだろうに。
「あーあ。あいつ死んだな。」
『そんな物騒なこと言わないでよ。流石にあの鉄仮面でも……』
私がそういった途端、ファインダーは神田に殴りかかった。神田は見もせずにひょいっとそれを避け、ファインダーの首を掴んだ。その手にはかなりの力がこもっている。……鉄仮面でも…するなこれ。私は慌ててそちらへと向かう。イラついている神田を煽るのはしたくないが、しょうがない。
「死ぬのがイヤなら出ていけよ。お前ひとり分の命くらい、いくらでも代わりはいる」
だんだん周りのファインダーの顔つきが険しくなる。私も少なからず動揺してしまった。その言葉は自分にも言われているような気がしたからだ。神田とは長年の付き合いとなるが、決して仲がいいとは言えない。しかし私は、周りと比べて話すほうだと思っていた。そんな神田の口からそのような事が出たことに動揺を隠せなかった。
「ストップ」
私の代わりに止めてくれたのはアレンだった。ファインダーの口からは泡が出ている。神田は彼のことをモヤシといい、二人の間にはあまり良くない雰囲気が漂っている。
「アレンです」
「はっ!一ヶ月くたばらなかったら覚えてやるよ。ここじゃパタパタと死んでいくやつが多いからな。こいつらみたいに。」
ファインダーの彼はもう意識がないようだ。白目を向いている。
『神田!もう離してあげ…』
「お前もだ。ファインダーのくせになに科学班の真似事なんかやってやがる。そんなに死にたきゃ、さっさと死ねばいいだろ。何故まだ生きてやがる。」
正直神田が知っているとは思わなかったので驚いた。報告書を提出する時にでも見たのだろうか。その鋭い目に私は何も言えなかった。
「だからそんな言い方はないでしょ」