第15章 戻ってきたぞっ!!
逃げるように外に出てきた俺は十四松と野球をいつするのか約束をするのを忘れてしまっていた事に気付き、結局一時間ちょっとで家に戻ってきて来てしまった。
玄関のドアをそーっと開け靴を脱ぐ。一松がいない事を願いながらゆっくりと居間の襖に手をかけた。
「十四松、いるか?」
「…………十四松?」
「………うわっ」
「………チッ、んだよクソ松…僕がここに居て何かおかしいわけ?あぁ……こんなゴミ、視界になんか入れたくないか。」
(……………やってしまった)
まさか想像していた一番最悪なシチュレーションが今起こるとは。一松の声に驚き過ぎて、誰から見ても過敏に反応してしまっていた。流石に今のは失礼だろう。
「ちっ、違うんだ一松!ただ今誰もいないと思っていて、まさか一松がいるとは思わなくて思わず驚いてしまったんだ!」
様子見程度で開けていた襖をスパーンッと勢いよく開け一松の元に歩いていく。
まさか俺が近くに来るとは思っていなかったのだろう。一瞬少し驚いた顔をした一松を俺は見逃さなかった。
「嘘つくんじゃねーよクソ松!!!
今日朝からずっと僕と目合わせないようにしてたの分かってんだからな!!」
「それは……っ!一松が殺気の含んだ目で見てくるからだろう!?」
(…………もう、この流れで昨日のこと聞いてしまおうか。一松が今日何故か俺の事をずっと殺気の含んだ目で睨んで来た事に※粗方いつもの事。対してずっと疑問を抱いていた。)
一松に聞こうと思い口を開こうとした瞬間、俺は胸ぐらを掴まれた。
「はぁあああああ!!?舐めてんのかテメェ!!!
昨日僕にしたこと忘れた訳じゃねぇよな?昨日の今日だから……って少し期待した僕が馬鹿だった!
いつものクソ松の視線じゃねーか、ふざけんなよ!!もっと………昨日のゴミを見たような視線をこっちに寄越せ!涙目になんかなるんじゃねーカス!!!」
「ごっ、ごめんなさい…………」
「チッ」
……………???、泣いて良いか?俺…。
掴まれていた胸ぐらを投げ捨てるようにして離される。
え、えぇ〜??俺、全く一松が言っている事が理解出来ない………。何でいきなりキレられたんだ??というか一松が言っていた、昨日のゴミを見たような視線をこっちに寄越せ?ってどういう事だ?
もしかして、と
理解してしまった俺は誰から見ても顔が真っ青だったと思う。