第12章 一日体験〜カラ松視点3〜
「寝れない。というか、寝れるわけない!!」
薄暗い中で瞑っていた目をカッと開き叫んだ。
勢いのまま布団に潜り込んだまでは良かった。
女性の…のベッドに寝ていると思うと……。
それにの匂いがして……。
朝もこのベッドで起きたが、それどころでは無かった。だが今は違う。布団に染み込んでいるの良い匂いを吸ってしまって、寝るどころか逆に今めちゃくちゃ目が冴えている。
「困ったな…………。」
ゴロンと仰向けで寝ていた体を横向きにする。
横向きになった事で視界にもかとももが映る。いつも寝ているであろう所で仲良く眠りついている。仲良く丸まっていて可愛い。
「はぁぁぁ………、今だけは女性の姿で良かったかもしれない…、いつもの俺だったら絶対……勃……って何を言ってるんだ、俺は!!!これじゃただの変態じゃないか……っ」
唸りながら横にあった抱き枕に顔を埋める。
しかし、それもまたいつもが抱きしめている抱き枕だという事に気付いたのは思いっきり匂いを吸い込んでしまった後だった。
「……なんという自爆。
……良い香りだ…ってダメだ!紳士がこんな事しては!」
(ひぃいい…!!こんなんじゃいつまで経っても寝れる訳ないぞ!!起きて一番下の段以外の本でも読むか?
…でもこのままタイムリミットまでこの匂いに包まれているっていうのもまた…。
うわぁあああ!!!また変な思考になってしまった!)
「…どうすれば良いんだ、この俺は……」
頭の中で一通り叫んだ俺は賢者タイムの様に一点を何も意味なく見つめていた。
少したった後それにも飽きてしまいもそもそと身体を動かす。もう何回寝返りをうったか分からない。
「…あまり寝返りをうつのはやめよう。特に横向き」
寝返りをうっている時に気付いてしまったのだ。
俺がいつもないものが腕に当たる感触が。
一番横向きになっている時がヤバイ。一番。
「少し当たってしまった俺を許してくれ……」
に聞こえる筈もないのに呟く。
腕が胸に当たらない様に抱き枕を抱く。もうこの際匂いより胸に触れないほうが重要だろう。
開き直ってこの安心する匂いを嗅ぎながら寝てしまおう。
抱き枕に埋まりながら目を根気強く瞑っていると俺はいつの間にか眠りについてしまっていた。