第10章 カラ松一日体験〜チビ太のおでん編〜
「俺はなぁ…、俺の事を求めてくれる女性…俺を愛してくれる女性、だな。
フェチ……は、やはり男のロマンだよな」
手を胸もとに持ってきてエア胸上げをする。
ちょっとおっさん臭かっただろうか。私も少し酔ってるって事で勘弁してもらおう。
「ちょ…、!カラ松、ぶっはっ!!!俺と一緒だなぁ!」
「そうだな兄貴、やっぱりあるものはあったほうが良いよなっ」
「やだーー、まじおっさんーー」
「おそ松兄さんとカラ松って変なところで似てるよね」
(カラ松のタイプって多分自分を必要としてくれる人、だと私は思ってるんだよね。
じゃなかったらさあの忌まわしいデブスと結婚紛いのことしなかったでしょーよ。あれ見たときガチ泣きしたからね!)
「ふっは!!!確かに俺ら変なとこで似てるよなぁ〜」
「そうだな兄貴〜」
おそ松と一緒に嬉しそうに笑った。
みんなと楽しそうに笑って喋って…今凄く気分が良い。
あぁ〜幸せじゃあ〜。酔ってるみんな頬赤くてぼんやりしてて可愛い〜。これだけで酒が進むわ!
(………カラ松、今何してるのかな)
酒の入ったコップを軽く揺らしながら私のアモーレのカラ松を思う。
(変な事に巻き込まれたりしてないかなぁー、私みたいに何かしらで癒されたりしてくれてたら良いんだけど……
あぁ…、また会いたいなぁ。もしかしたら同人誌とか見ちゃってるかも知れないし、だったら謝りたい)
連想するかのようにデカパン博士からもらったガラケーみたいなものを思い出す。
あれは無くさないように、タンスの上の端っこに置いてきたのだ。今日はもう少しで終わる。ちゃんと忘れずに枕元に置いて寝なくては。
「あぁーー、今日は楽しかったなぁ……」
特に意味もなく上を見ながら、独り言のように呟いた。
とっても短かったけど……すっごく濃い一日だった。
………一生の宝物だな。
「確かに今日はみんなと遊んでたもんね、クソ松」
「…一松、あれ、十四松は?」
独り言を聞いていたみたいで、隣に座っていた一松が話しかけてくる。さっきまでは一松の隣に珍しく十四松が座っていたのだ。十四松を探すように辺りを見回す。
「トド松の隣に行ったよ」
「弟は可愛いなぁ、なぁ、一松」
「そうだね」
十四松とトド松のいる方に視線を向けると楽しそうにおでんをあーんし合っていて、孫を見ているような気持ちになって顔が緩んだ。
