第8章 一日体験〜カラ松視点2〜
「はぁああああ………身体を見ずに着替えるのってあんなに大変なんだな………、キャミソール着ていてくれて助かった…」
外に出掛けるために着替えるという目標を立てたのは良かったが、それからが大変だった。
着ている寝間着を脱ぐという事はの下着が見えてしまうということで…。それは童貞にはとてつもなく辛い。(今はの身体だけれど精神的に)
着心地的にブラの上にキャミソールを着ていることは分かったが問題は下だ。意地でも見ないようにしながら俺は用意していた、白のスキニーパンツを履き、その勢いでパーカーも着た。
そしてちゃんと見なかった自分を内心で褒めながら一息ついた。
「バッグもあるし、戸締りもちゃんとしたし…これで大丈夫か?」
出掛ける前に猫を撫でていこう。
「もか、もも、少し出掛けてくるな?」
「「にゃあ!」」
頭をぽんぽんと撫でると元気よく二匹であいさつをしてくれた。可愛すぎて顔が緩むのを感じながらテーブルに置いていたバッグを手に持つ。
そのまま玄関に行きどんな靴を履こうかと悩む。男の俺でもどんな靴を履くのか悩むのに、ファッションの幅が広い女性の靴を選ぶのは難しい。
目の前に揃えてある靴は、スニーカーにヒールの高いサンダル、アンクルブーツ、そしてヒール低いパンプス。
近くにあるこの四足の靴に絞ることにした。
スニーカー…は少し地味だ。ヒールの高いサンダルは流石にヒールの高いものを履いたことがない俺にはレベルが高すぎる。アンクルブーツは、今日のファッションには似合わない気がする……なら、このパンプスか。
このパンプスならヒールが低いしこのファッションにも合うだろう。白いスキニーに黒いパンプスは良く映える。
「少し履き慣れない……が、雑誌に書いてあった。”ファッションは我慢”だと。これくらいなら俺でも我慢出来る。…転ばないように気を付けないとな…」
パンプスを履くとヒールは低いとはいえ、ヒールのある靴を履いたことのない俺にとってはとてつもない違和感と恐怖。女性はいつもこんな不安定な靴を履いているのか……凄いな、尊敬する。
「さて、行くか!」
外にはどんなものがあるのだろう?
なんだかワクワクして来た。
鍵を開けドアを押すと
「高いな、はマンションに住んでいるのか………」
さわさわと気持ちいい風が頬を掠めた。