第6章 カラ松一日体験〜一松編〜
「一松笑ってピースしろ」
一松を罵った後に私はにゃんこの写真を撮りまくっていた。そして一通りにゃんこの愛らしい写真とムービー(私と一松の音声入り)を撮った後次は、一松を撮ろうと思う。
「……なんで。ヤダよ……あ、もしかして命令で笑ってピースしなくちゃいけない?強制?じゃ…一回撮ったら一罵りよろしく。」
一回一松を撮るために一罵りをしなくてはいけないのか…。まぁ何枚かしか撮らないしイケるか?
「ほら笑えクズ」 カシャッ
「次はにゃんこを抱きかかえて……クソと可愛らしいにゃんこを並べるとマジ、月とすっぽんだな。」 カシャッ
さて、二枚だけだが、もう罵るのが疲れてしまったし(考えるのが面倒くさい)一松を綺麗に写真におさめることができたからこれで良いだろう。
「ありがとう、一松」
「………これなら何枚撮られても良いかも……くひっ」
「お断りします」
今撮った写真を確認する。
…これ、カラ松が見ても大丈夫かなぁ。二枚目の写真は一松とにゃんこがめちゃんこ可愛く写ってるから大丈夫だとして………問題は一枚目だ。
背景が薄暗い路地裏でドMの顔をした一松が無理やり笑顔を作りダブルピースをしている。
カラ松に変な誤解が生まれなきゃ良いけど。
あ、危ない危ない。あの時のクズ共の脅迫に使ったムービー削除しなきゃ。こんなの見られたら私は死ぬ。ちゃんと一松にも口止めしとかないといけないなぁ。
でも流石にどう口止めしよう?『あのにゃんこ狂い事件のことは俺には言わないでくれ?』違和感あり過ぎ……!…別に隠さなくても良いかな…猫を助けただけだし、他の兄弟には黙っててくれるらしーし。
「一松、帰るぞ」
「…………うん、分かった」
少し少なくなった猫缶が入った袋を持ち上げ歩き出す。
そうしてから気付く。そういえば、サングラスつけるの忘れてたな〜。もう着けるには時間も時間だしな〜。
私はサングラスを取り出し一松に掛けさせる。
「‼︎……なに」
「いや、なんとなく?一松くぅん、似合ってんぞ〜」
「嘘だろ、笑ってんだろーが!」
叫びながらもサングラス叩き割ったり外したりしない一松は別に嫌ではないんだろう。
パーフェクトファッションの私と、パーカーにサングラスをつけている一松。はたから見たら変人にしか見えない。
その証拠にたまにすれ違う人達は全員私たちの事を二度見していた。