第6章 カラ松一日体験〜一松編〜
「はぁっ…はぁ……か、買ってきました……‼︎」
「じゅ、っぷん…以内に、ま、間に合いましたか⁉︎」
クズ共の手には大量の猫缶。こいつらが買いに行って戻ってきた時間は九分。ギリギリだが間に合っている。
…が、このまま返すのも癪だし、少し遊んでやるか。
「一分遅刻だぞ?さて、このムービーを警察に届けに行ってからネットに拡散するかな。」
「「………………えっ……」」
絶句した二人の顔に爆笑しそうになるのを抑えながら猫缶が入っている袋を受け取る。
「冗談だ、冗談。ちゃんと時間制限内に戻って来たぞ。
お前ら、もうこんな事二度とすんじゃねぇぞ。次そんな事してるのを見つけたらこんなもんじゃすまねぇからな。」
「「はい、申し訳御座いませんでした‼︎」」
「…………あと、お前、鼻血出てんぞ。汚ねぇからこれで拭け。さっさと俺の前から失せろ。」
顔を殴ったクズの顔からは鼻血が出ていた。もしかして鼻血を流しながら猫缶を買ってきたのだろうか。
まぁ、それだけ必死になって買ってきたって事だよね、その根性だけは褒めてあげよう。
ティッシュを投げるように渡すとそいつは握るようにそのティッシュを受け取り二人で私に向かって頭を下げてから路地裏から出て行った。
「さぁて、猫缶もこんなゲットしたし。一松を探そうかなー…ん?さっきのにゃんこ?」
袋を持ちながら一松探しを開始しようと思っときにさっきのにゃんこ二匹がこちらを見ている。
「さっきは怖かったね。おいで、にゃんこ」
「にゃあー」
地面に猫缶が入っている袋を置き、手の匂いを嗅がせる。そして近づいてくれるなら自分を怖がっていない証拠だ。
このにゃんこたちは仲が良いんだろうな、本当に怪我する前で良かった。教えてくれたにゃんこを表彰したいくらい。お前はヒーローだよ。
二匹同時に近づいてきてくれたので、一匹を抱っこしたあともう一匹も抱っこする。両手に花。幸せ。
太ももと身体でで二匹の身体を支えながら頭を撫でる。気持ちよさそう。はっ…鼻血がぁ……っ
「あ、ねぇ、ご飯食べる?」
二匹を降ろしたあとガサガサと袋を漁り適当に二缶の缶詰を取り出し缶を開ける。
「今はお皿が無いからこれで我慢ね」
お腹が空いていたのか食べやすいように少し解してあげた缶詰を美味しそうに食べている。
私は二匹が食べ終わるまで眺めて待っていた。