第6章 カラ松一日体験〜一松編〜
でも、画面にヒビが入ったくらいじゃ、携帯は壊れない。
ヒビが入った二つの携帯を拾い上げて正座しているクズ二人の後ろのコンクリートの壁に投げた。思いっきり。
凄い音がした。流石に壊れたかな。
「さぁて、お前ら。反省の時間だ。俺の声に続けよ?」
恐怖で声が出せないのかクズ共は必死に顔を縦に振る。
私は持ってきていたカラ松の携帯を取り出しムービーのボタンを押す。まさかこんなことに使うとは思いもしなかったなぁ………。カラ松の携帯のデータが汚れる。
「俺たちはとんでもないクズです。ゴミ以下です。」
「「お、俺たちは、とんでもないクズです。ゴミ以下です‼︎」」
「二度とこんなくだらない事をしない事を誓います」
「「二度とこんなくだらない事をしない事を誓います‼︎」」
「御猫様申し訳御座いませんでした。」
「「御猫様、申し訳御座いませんでしたぁああああ!!!!」」
頼んでもないのに土下座をしたクズ共。クズのくせにそーいう事は分かるんだね。ふふ、脅しの材料ゲット!
「顔上げろクズ共。今すぐ御猫様の缶詰を買ってこい。百缶。ちゃんと色々な味を買ってこいよ。10分以内で。………もし、逃げたり、時間内に帰って来なかったら……分かってるよなぁ⁇」
クズ共の視線を合わせるためにしゃがみ、笑顔でカラ松の携帯を見せる。
「ヒィ……いっ、今すぐ買ってきます‼︎」
「うわぁああああんッッ‼︎」
ダッシュで立ち上がり私に頭を下げてから路地裏から出て行った。
「…………はぁ……生きる価値のないゴミ以下が…チッ………。」
私は誰もいなくなった静かになった路地裏の壁に寄りかかり、ポケットからタバコを取り出す。
家に戻った時に偶然見つけたものだ。多分カラ松のだと思う。Peaceを吸うのなんてカラ松しかいないでしょ。多分。だってPeaceって日本語に訳すと”平和”だよ?いかにもカラ松っぽいでしょ?
私はメンソールしか吸わないけれど。カラ松の身体だからか、火をつけ吸ってみると身体にニコチンが馴染んでいく感覚がする。あぁ〜、クズ共を潰した後のタバコうめー、ヤニクラさえも気持ち良い。
三分の一くらい吸い、持ってきていた携帯用灰皿にタバコの吸い殻をしまってから一分経っただろうか。こっちに勢いよく走ってくる足音が聞こえた。