第6章 カラ松一日体験〜一松編〜
「チョロ松、行ってくるぞ!」
「いってらっ……⁉︎えっ、カラ松その格好で路地裏に行ってくんの?馬鹿じゃないの」
「フッ……イカしてるだろう?」
「全然分かんないし、イカしてない。」
「…………えっ、…フッ…照れ屋なブラザーだ。じゃあ行ってくるぜ!」
決めポーズを取りながらチョロ松にカッコつけると冷めた目でみられた。うっは。
そしてそのまま、家を出る。
……でも、まぁ、確かにこの格好はほんと尊敬に値するよね。革ジャンにサングラス、金のネックレス、自分の顔がプリントされたクソイタントップ(と思ったけど流石に恥ずかしいからVネック)ピチピチのスキニーパンツ、極め付けはこの尖った高そうな靴。いやぁー、イッタイわぁー。
確かにチョロ松に言われた通り路地裏に出掛ける人の格好じゃない。どうみても。でも一松はカラ松ボーイだし、私はパーフェクトファッションが着たかったし!だったら良いじゃない!例え路地裏でもこんな格好したって!
さっき持ってきた携帯を取り出し、眺める。カラ松に一松が可愛がってるにゃんこを見せたい、というか何でそれ朝閃かなかったんだろ。
そうしたら今までの思い出を写真に残せるし、カラ松にも見せれたのに。畜生……。でも今からそれをすれば良いんだ!いっぱい写真とろーっと!もしもパスワードがかけられてても写真は撮れるもんねー!
「…………パスワードかけてない……だ、と?」
試しに画面をスクロールしてみるとパスワードがかけられておらず、直ぐにホーム画面が映る。画像設定は尾崎だ。歪みねぇぜ、カラ松。
それを確認すると電源を切り、自分のポケットに入れる。財布は路地裏に行くだけだし持たなくても良いだろう。
「あぁ〜〜にゃんこ!にゃんこ!」
どんな可愛いにゃんこがいるんだろう?いっぱいいるんだろーな!想像するだけでテンションが上がる。
路地裏に入ろうとした時だった。一匹のにゃんこが私に近づいて来る。
「にゃあぁ……」
「………?どうしたのにゃんこ、そんな悲しそうな声…」
猫を飼っている私は猫の鳴き声、仕草で猫が私に何を求めているのか分かる。私に近づいて来たにゃんこは落ち込んでるような心配しているような声。どうしたのかな。
「にゃあ」
「ん?ついていってほしいの?」
にゃんこは私を見上げた後に路地裏に入っていく。もしかしてついて来てほしいのかも知れない。