第3章 一日体験〜カラ松視点〜
「……………ん…」
カーテンの隙間から漏れる光で俺は目を覚ました。
ここは…何処だ?ゆっくり身体を起こし周りを見渡してみる。清潔に整えられているこの部屋は見た事がないし…それに何だ?何時もと家具の見え方も違う。なんというか凄くリアルで質感があるというか……。
「……………、あ…そうか、俺、と身体を一日だけ交換したんだったか……そりゃ見え方も違うはずだな。まず次元が違う。」
一旦歯磨きをして顔を洗いたい。洗面所はどこにあるんだ?と思いまだ少し寝ぼけている身体を動かす。
部屋を出て少し歩いたところに洗面所はあった。近づくと髪がボサボサな寝起き顔のの顔が。
(女性は準備前のOFFの顔は見られたくないらしいな。別にいいと思うが、はどうなのだろう。今鏡に映ってしっかりと見てしまったんだが………。)
顔を洗う為に髪を梳かしてから手に付けてあったゴムを使い髪を結ぶ。そして冷水で顔を洗うとぼやけていた意識もはっきりしてきた。
コップの中に一本の歯ブラシがある。この身体はのものだとしても中身は俺だから、なんだが女性の歯ブラシを咥える事にドキドキしてしまう。
「でも、歯磨かないといけないしな……」
歯ブラシを手に取りブラシの部分を軽く洗ってから歯磨き粉を適量つけ歯を磨き始める。
(…!なんだか甘いフルーツの味がする)
なんの味かと歯磨き粉のパッケージを見ると”カシスオレンジ”と書いてあった。俺んちの家は母さん以外は全員男で歯磨き粉の味なんて気にした事は無いしミント以外を買った事は無かったが、これは結構好きな味だ。
元の世界に戻ったら母さんにお願いしてみようと思う。
歯磨きを終え、一息ついてから起きた部屋に戻り閉まっていたカーテンを開けると真っ青な空が目に映る。
「いい天気だな」
こんないい天気の空気を部屋に入れないのはもったい無いと思い施錠を外し開けると気持ちいい風が頬を掠める。
「さて…何をしよう?」
は今日は仕事は休みで家に引きこもっていると言っていた。なんだか部屋を探索するのは気がひける。
何か無いかと思いながら部屋を見渡す。そして暇つぶしになりそうなものは、テレビ、本棚、パソコン。人の本棚やパソコンを見て良いのだろうか?でもは使って良いっていたし、良いか。